猫の名前を八にした理由

f:id:nmy:20141028230626j:plain

最近猫を飼い始め、八という名前を付けました。漢数字の八と書いて、ハチと読みます。僕は苗字が二宮なので、フルネームだと二宮八です。二と八を足すと十できりが良いし、八は末広がりで縁起も良い。名前を考える時にそんな理由も頭に浮かびましたが、重視したのは音でした。

名前はリズムです。一音一音のリズムで構成されています。例えば僕の名前は「ニノミヤ テッペイ」ですが、前半はナ行とマ行ばかりです。ナ行とマ行はどちらもモコモコしています。発声するときに歯切れが悪く、口の中がモゴモゴして、水分が足りなくなってきます。そうした何とも煮え切らない苗字の次にやってくるのが「テッペイ」という名。これは一拍溜めた後の一撃です。「テッ」で一拍溜めてから、一気に破裂音「ペイ」を放ちます。ワウをきかせたモワっとした苗字から一拍置いて放たれる、一発のパーカッション。それが僕のフルネームです。

このように名前はリズムを持ち、多くの場合ドラムの音が鍵を握ります。例えば日本人に多い苗字の田中さんは、「タッ」という音でスネアを一発叩いてから、「ナ」で一息入れた後に「カッ」という音で締めます。最後の「カッ」、これはリムショットですね。つまり田中さんはほぼスネアです。対して、ほぼハイハットで構成されるのが菊池さんです。「キッ」「クッ」「チッ」と3発も刻んでます。他にも、バスドラっぽいのが土井さんで、タムっぽいのは多々良さんですよね。

僕は、苗字と名前でギャップを設けてリズムに変化を加えたい派閥です。苗字も名前もタ行やカ行を中心に刻み続ける方もいらっしゃいますし、破裂音を用いずア行ナ行あたりで貫くアンビエントな方もいらっしゃいます。もちろん人それぞれで、好みの問題です。ただ僕は、ニノミヤという姓の後に、モモコのようなふんわり系の名を続けたくなかった。最後に一発くらいは、ドラムスティックを振り下ろしたかったのです。

そう考えて辿り着いたのが「ハチ」です。クローズドハイハット一発のみ。「ニノミヤ」と四音もじらした後に、本来なら思いっきりスネアかクラッシュシンバルあたりに振り下ろしたいところでしょう。テッペイのように。でもそこで、ぐっと堪えて、あえてハットのペダルを踏んで閉じた状態でやさしく一発「ハチ」。これです。この情緒、この優しさ。そして後に響く余韻。

これが、僕が猫の名前を八にした理由です。かわいいでしょう。

f:id:nmy:20141027085417j:plain